うつわやブログ

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June 16, 2008 1:12 PM

試行錯誤

粉引を焼く前に、気になる事があったのでその窯を先に焼きました。

やきものは同じ原料を使っても、釉薬の厚さや焼成温度、燃焼時間、還元具合により様々な表情をだします。(合成原料の場合は比較的安定しやすいようです)

sikousakugo01.jpg

過去の焼成記録(器の表面 約3cm)

7年ぐらい前から実験的な焼成を繰り返し、どーしたものかと思案しておりました原料の生かし方がなんとなく見えたような気がして、原料の調整を行い焼いてみました。

sikousakugo02.jpg

試作段階です

部分的によい感じが・・・と思ったら、焼きがあまいというか、生地の焼きしまりがいまひとつ。
このままだったら使っていくうちに、悪臭を漂わせそうな焼き加減かなぁ・・・
(水を入れると、テーブルを濡らすほどではないがカイラギから染み出る)
使ってみないと分からないので、一番焼きの甘い大きくカイラギのでたものを選んで、重湯で煮た後(水漏れは止る)発育具合を観察していきます。

カイラギのでかたは、もう少し小さい方が理想。過去の失敗例→こちら

再度テストしようと思ったきっかけは・・・

粉引を作る前に化粧土を作っておこうと、原料袋の中にあった茶碗に目が止まる。
(キズがでた茶碗は原料量りとして使ったりします、直ぐ使えるように袋の中に入れたまま)

sikousakugo03.jpg

細かなカイラギの間に粉が入り込んでおり、カイラギの状態が確認できます。

それから、同じ原料で作り数年使用した筒湯呑(2002年製作)を検証する。

sikousakugo05.jpg

カイラギの間にはシミが入り込み釉薬部分も変化した感じ

sikousakugo06.jpg

生地がやや堅いためか、外側はほとんど変化がみられず

酒器であれば・・・素材のもつ特徴を上手く生かせそうな予感を得、この筒湯呑より焼きしまらず、少しだけ生地を柔らかく仕上がるようにし、筒盃(2枚目画像)を試しに作ってみたものの、ちょっと甘すぎたようです。次の窯は、この中間ぐらいの感じで調整を。

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Comments (13)

相変わらずの勉強熱心。

Respect!

重湯で煮ると水漏れが止まるんでつか?
月謝払わんけど弟子にして(笑)

Moneyさん、勉強といえるか定かではないですが・・・
テスト焼きは面白いです(笑)


Buhiさん、わずかな漏れは重湯で煮ると止まります。(使っているうちに自然に止まる場合もあり)
他にもやきもの原料を扱うところでは、水漏れ対策に食器用シリコンや液体セラミックなどあるようです。(素地が荒く、水をはじくものには使われている可能性ありです)作り手は知っていると思います。
これらを使うよりは、しっかりと焼きしめた方がよいですね。

人間国宝の某陶芸家の作品は茶碗にしろ徳利にしろ花入れにしろ、すべて漏れるので、この人の個展の前夜は総出で重湯を炊いていたそうです。
白田陶苑(仮称)の社長に聞きました。

焼きがいいものほど味もいいですね。焼きが甘いと汚くなります。

奥高麗なんかはいなぁと思います。

人間国宝になると、使う側が心得て丁寧に扱うからよいでしょうが、
確かに焼きが甘くて汚くなったら使いたくありません。
過去に失敗を重ねそう思うようになりました。

いい具合に育つ、汚くなる、その頃合を上手く見極めたいものです。
(発酵と腐敗ぐらいの差があったりしそうです)

住まいがもっと近ければ日参は迷惑でしょうから月参したいくらいです。ただため息が出るのみ。あ~あ。

そういっていただけると嬉しいのですが、ブログのほうが整理されてみやすいかもです(笑)
今回の試作は、やはり甘かったですよ。
私の場合、皆様からいただくコメントによって、得るものが大きいです。

>人間国宝になると、使う側が心得て丁寧に扱うからよいでしょうが、確かに焼きが甘くて汚くなったら使いたくありません。

だから、その作家と比して後世に残るのは加藤唐九郎だろうと言ってました。あえてその作家の名は秘しますが…。

加藤唐九郎さんの作品はガラス越しにしか拝見したことがありません。
10年ぐらい前に読んだ自伝「土と炎の迷路」面白かったです。
これを期に再度読んでみます!

ご無沙汰しております。
焼き見本では、右上に行くほどいいカイラギと思いますがいかがなのでしょうか?

ある方は、シダの灰がカイラギを出しやすいと言っていました。多分亜鉛などの金属分も関係しているのではないでしょうか?

wassenaarさん、前田家住宅展示会ではありがとうごさいました(担当者より話をお聞きしました)

焼き見本の左が酸化→右が還元、上下が温度というふうに並べてみました。
温度が上がるほどカイラギが収縮し縮れが大きくなるようです。(釉薬の厚さが違うため焼き見本はおおまかな目安です)
これに使っている釉薬は長石だけで、違う土になるとまた大きく異なります。
今回の試作は、左の一番下の位置ぐらいです。(酸化の温度低め)

シダの灰は試したことはないのですが、金属分が少ないために白磁によく用いると・・・何かに書いてあったような・・・
独立して間もない頃、原料屋さんにシダの灰を買おうとお聞きしたら「こんなのは大先生が使うと!いったい幾らすると思う」と言われ柞灰(いすばい)で妥協しました(それでも15k4万ぐらいはしました)その使っていた柞灰(磁器ものなどに使用)も今は製造中止となってどーしたものかと思案しています。

釉薬のお話ありがとうございました。灰も高価なものなんですね。
カイラギ用の灰になるというシダは、禿げ山に良く生えているヘビノネゴザというものです。でも、たくさん集めてから500℃とかで焼くのは大変ですね。(笑

こちらこそありがとうございます。
ヘビノネゴザ、今後チェックします!
大量に焼いて灰にしてもごくわずかになり、それから水肥するとまたまた少なくなります。
地道にがんばりますよぉ~(笑)

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