うつわやブログ

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July 3, 2008 9:36 PM

読み返した本

久しぶりに、弟子入りしていた頃に読んだ「やきもの随筆」をパラパラとめくってみると・・・
以前読んで共感を得た事なども思い出されますが、また新たに別の箇所にも目が止まります。

「磁器の原料でも瀬戸だけは他と少し違います。瀬戸の東の猿投山から三河の北にかけて長石の山が続いていますが、この長石を粉にして、そこへ瀬戸の粘力の強い土である木節とか、または蛙目をまぜると、磁器用の土ができるのです・・・」

と。瀬戸の磁器土は長石+粘土と書かれていました。猿投の山茶碗などの焼きしまった土を見ると磁器土だけでなく、初期の土ものにも多少は長石などの石系が混じってるんじゃないかなぁ・・・など思い浮かびます。(唐津にしても瀬戸にしても初期のものは堅く焼きしまっていたのではないかと・・・)

やきもの随筆 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

一部抜粋しましたが、他にも社会的背景のなかからやきもののを流れをとらえ、流行的なものへの移り変わり、磁器と陶器との違いなどが詳しく書かれており、やきものについて知識が無い初心者も充分楽しめ、またやきもの作り志す者にも新たな視野がひらけそうな、土のこと釉薬(灰)焼成などについても分かりやすく、学校で学ぶ基礎知識や釉薬の専門書などとは一味違って気軽に読めるお勧めの本です。(シダ灰についても面白いことが書かれていました)

その他、加藤唐九郎著書

自伝 土と炎の迷路 (講談社文芸文庫)

やきもの談義

最近は原料などかなり値上がりしてますが、本の場合よほどの専門書で無い限り、ネットで手軽に買える便利さも含め、古本が手頃になったのは嬉しいことです。

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Comments (5)

白洲さんの例の志野輪花を唐九郎が
「これは俺が持つべきものだ」
と言ったら、白洲さんが
「あんたが作ればいいでしょう」
とやり返した話が好きです。

あの輪花、大きくて、口作りが呑みにくいです。(別な個人蔵のものでお酒を頂いたことがあります)

「紫匂」ってどう思います?

>「あんたが作ればいいでしょう」
ストレートで遠慮がなくいいですね。

その輪花と同手のものを触れるだけでも凄いです!

「紫匂」ですか・・・
写真をみただけですが、芸術性の高い唐九郎さんの代表作品。かっこよくて紫が匂ってきそうです(そのまんまですが、どんな香りか匂ってみたいですね・笑)
この作品以降、現代の陶芸作家の流れも感じます。(唐津でいえば西岡小十唐津を目標にしてるような感じ)
値段が高すぎ・・・同価格なら堀の手唐津が沢山買えます(笑)

うつわやさま
シダ灰について唐九郎さんはどんな技をお持ちだったのでしょうか?
唐津だと、斑の模様が出しやすいんだとか聞いた事もあります。

desafinado ( July 5, 2008 3:04 PM ) 返信

唐九郎さん、文章が楽しいですよね~。座談はハチャメチャで別の楽しさがありますし!
やきものをアマチュアに対しやさしく語ることのできる彼の才能は、やはりすごいものを持っていると思います。

wassenaarさんが仰るように斑について書かれていました!
二箇所から抜粋しますと・・・
「斑唐津の場合は、シダ灰に糠灰をまぜて使っています。北九州はシダを多く産するし、シダ灰は珪酸分のはたらきを活発にします」
「中国ではシダ灰をもって最上の灰としていますが、景徳鎮の灰の使い方が、わが国の唐津の斑唐津と北朝鮮の会寧に酷似しているのは、単なる偶然とのみはいえないように思います。」と書かれており、唐津や会寧に酷似してるのは単なる偶然でないというのは大変興味があるところで、景徳鎮の灰の使い方から考えてるあたりはとても面白いです。
(ここでは糠灰と書かれていますが、藁灰も同様と考えてよいと思います)


desafinadoさんも読まれたのですね、大変わかりやすくてとても参考になりますよね。
土を追い続け、他人の靴底の土を見て問いただし、刑事と間違われた事件なんかも笑えました。作品も凄さがありますが、人間的にも確かにすごいものを感じさせられます。

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