うつわやブログ

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January 29, 2009 9:17 PM

粉引の育ち

汐景が育ってから粉引の変化をまとめようと思っていましたが・・・
発育途中で嫁いでしまい、現在ある写真でどのような変化があるかを簡単にまとめてみます。

同じ原料を使用した粉引でも、変化の仕方は様々なようです。(理想的な育ちは李朝のような細かな貫入に雨漏りの景色。)

20090129kohikinohenka01.jpg

上左、たまに使う小鉢は内側に貫入がうっすらとでる。
上右、数回使い、暫く使用していない湯呑は内側に変化はなく、外側に染みがでていた。
下左、よく使うカップ、内側に貫入がはっきりとでる。
下右、たまに使う湯呑、内側に染みがでる。

一番変化している下左のカップの外側と内側を拡大すると、

20090129kohikinohenka02.jpg

釉薬の厚さにより、貫入の入り方が変わってきますが、雨漏りのような染みは外側のみにでています。(左の大きな貫入の下部分にも肉眼でやっと見える細かな貫入があります)

雨漏りとは  やきもの辞典より

高麗茶碗の一種で、茶碗の表面に雨漏りのような浸みの景の現れていることを特徴としていいる。名物では「蓑虫」が著名。また、たんに浸みの景を指してもいう。堅手、熊川(こもがい)粉引、萩などによくみられる。

雨漏りのような景色をだしてくれるといいのですが、なかには理想と反して、よくない育ちをする場合もあります。

先日、お客様のところで、粉引偏壷の育ちを見たところ、黒い斑点がでており、よい状態とはいえず、お話した上でこの黒い染みを消すために焼き直しをすることにしました。

20090129kohikinohenka03.jpg

しかし、せっかく付いた他の景色も消えてしまうので、窯に入れる前に黒い染みだけ消えないものかと、水に浸け、それから乾燥させて、を何度か繰り返していましたら・・・

20090129kohikinohenka04.jpg

染みが広がってきたものの、黒い部分は変化なし、 もう少し様子をみて、取れなければ焼き直しすることにします。
使用前の粉引偏壷の画像はこちらを(左側)→http://www.utuwa-ya.jp/blog/kamadasi2008%2C7kohiki04.jpg

粉引は縁が弱く欠けやすいので、今後はそのあたりの調整を。

お客様がお使いの粉引の変化をUPしていこうと思います。

20090129kohikinohenka05.jpg

2000年製作 粉引偏壺 Nさん

20090129kohikinohenka06.jpg

2003年頃?製作 粉引徳利 Wさん

新たな写真を撮りましたら、後日追加していきます。

粉引変化を記録した観察日記は↓こちらを
http://shihoge.exblog.jp

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Comments (6)

「氏より育ち」
「生まれはいいけど育ちが悪い麻生太郎です」

こんな名言が思い出される日記でした。

以前、俳優のKさんがお持ちの粉引盃が真っ黒でびっくりしたことがありましたが、あれも直し屋さんに頼むと上手い具合にしみぬきしてくれると骨董屋さんにおそわりました。


しかし幾星霜経ないと味がでないとは…肝臓が心配な今日この頃、おいそれと粉引には手が出せないなぁ…なんて思ってます(笑)

素晴らしい名言ありがとうございます。
先日、筑豊のとあるやきもの屋さんは、「麻生さんは育ちがよいから」と言われていました。この環境の悪さ身にしみて実感しております(笑)

>あれも直し屋さんに頼むと上手い具合にしみぬきしてくれると骨董屋さんにおそわりました。
なにか方法があるんでしょうね。上手い具合に染みがぬけると、より使いやすくなります。

先々、現代物の中古とかで、程よく育ったものが流通しないでしょうか・・・。
新しい徳利を買われる方に、使い込んだ徳利の下取りとかしてみようかなぁ(笑)
そういえば、井戸系統のものなどは、窯からだしままだと味気なく、お茶で煮るなどして販売する作家さんも多いようですね。(私は使いながら変化していく方が好きです。)

たけうま ( April 18, 2013 10:00 PM ) 返信

 3月末に大丸心斎橋店のギャラリー桃青で粉引の汐景湯呑をわけてもらった者です。
 朝にお茶を飲んで、水洗いをして濡れたタオルの上において仕事に出かけたら、夜には外側に黒い斑点がたくさん浮き出ていました。
 薄めた漂白剤に浸しておいたらおおむね消えたのですが、再度使い始めたらまた出てきてしまいました。
(水洗いをした後は、乾いた布の上に置いておきました)
 私が濡れたタオルの上に置いて出かけたのがいけないのだと思いますが、上手く黒い斑点を取る方法があれば教えてください。

たけうまさん、お求めいただきありがとうございます。

染みを広げるのでしたら水かぬるま湯につけておくといいようで、それを薄くするには乾燥させるといいと思います。
外側でしたら、ふせて置くだけでも違ってくるようです。

参考に「観察日記」より 使用後4日目
http://shihoge.exblog.jp/17233254/
(これくらいの斑点でしたら使っていくうちに目立たなくなってきます)
20日目
http://shihoge.exblog.jp/17337891/

もし斑点が気になるようでしたら、新品と交換いたしますので、その時はご遠慮なく~。

たけうま ( April 19, 2013 10:12 PM ) 返信

うつわや様

 早速のご回答ありがとうございます。
 拝見した「観察日記」のような具合ではなく、「カビ」っぽく見える黒い斑点なので、もう一度濃いめの漂白剤に浸して、よく乾燥させてから使ってみます。
 まずはお礼まで。失礼します。

2,3日乾燥後、色の薄いお茶などから使われるといいと思います。
もし、また何かあるようでしたらお知らせください。
焼き直しすることもできます!(真っ白になりますけど)

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