うつわやブログ

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July 1, 2009 8:46 PM

沓形の沓茶碗

よくぞご無事で・・・と言いたくなるぐらいの沓形。

20090701kutuchawan1.jpg

武雄系唐津 口径 10~16.8cm 高さ 4.2~5.5cm

こんなにへたりなりながらも、不思議と大きな割れがなく、一箇所に1cmくらいの窯キズが入ってるだけ。かろうじて使えるこのひしゃげようは、あらゆる困難を乗り越えて強く生き抜いた奇跡のようなものまで感じられる。

かって、時の流行にともない注文生産された沓茶碗のなかでも、これほどの沓形はないと思う・・・

この沓茶碗をはじめてみたのは、3,4年ぐらい前でしょうか・・・
収集家宅で拝見させていただいたき、あまりにも沓形に思わず微笑んでしまった。

20090701kutuchawan2.jpg

高台は畳に付かない・・・

暫くして、ご近所の骨董屋さんに行くとこの茶碗が皿立てに飾られていました。
その骨董屋さんとは陶磁協会の研究会でお会いし、その後何度か店を訪れ、陶片や呼継茶碗、水差しなどをみせていただいておりました。

展覧会で同手の沓茶碗を見たり、陶片を手に入れると、 この茶碗のことを思い出し、それからも何度となくお伺いしていました。

ある日、骨董屋さんが「なんか家にあるもの持って来たら下取りするよ、この茶碗とっておくから」といってくださったので、後日、大皿と花入れを持参しお見せしたところ・・・
骨董屋さん「今はなかなか売れないからね~他には?」
わたし「いや~もってきたのはこれだけなんです・・・」
骨董屋さん「はぁ、こんだけ・・・箱はいいけど、この頃の市じゃなかなか値段もつかんし、買うもんがおらんとたい」
わたし「そうですか~」といって持参したものを仕舞って帰り支度をはじめると
骨董屋さん「あっ、もう置いて帰んなさい、これ持って帰っていいから」
わたし「そうですか、ありがとうございます。本当にいいんですか?」
骨董屋さん「いいから、いいから」

割れてた花入れと、入のある大皿がこの沓茶碗に換わった。

20090701kutuchawan3.jpg

見込みは大海に浮かぶ孤島の如く
茶も立てられる!

ただ、問題は洗いにくい・・・
(前所有者も茶を立ててたような使用跡があり・・・使う前、綿棒で掃除した)

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Comments (13)

凄い 沓茶碗!!! 半端じゃない「ひしゃげ」かたですね!!! 
口辺のひしゃげもですが 高台周辺が凄過ぎです。 
茶を点てた写真が またまたカッコ良くて痺れます!

>見込みは大海に浮かぶ孤島の如く
>茶も立てられる!
 一服頂戴した~い。「孤島」に上陸した~い。
 (確かに洗い難そうです、でもそんなの関係ねぇ~(失礼))

それにしても骨董屋さんとのやりとり いい話ですねぇ。羨ましいです。
久々に銘を付けたい茶碗を拝見しました。
良い品を見せてもらいました。 まさに奇跡だ!

この島をみると、

我こそは新島守(にいじまもり)よ隠岐の海の荒き波風心して吹け

と隠岐島に遠流になっても帝王の気概を失わなかった後鳥羽院を思い出します。

はたまた、平家打倒の陰謀を計り鬼界ヶ島(喜界島)に流された俊寛を思い出しますが、長次郎の黒に「俊寛」があるので…。


後鳥羽院じゃ諡号だから畏れ多いから「隠岐」か「新島守」…。

なんか緑の「日の丸」みたいにも見えるし…(笑)

唐津に「いろは島」というのがあるそうですが、なんかいい島の名前ないですかね~。

高台をみるとひょっとこの口みたいで、これはまたユーモアがありますが「火吹き男」じゃ(笑)

小服さん、痺れていただけなによりです!

「孤島」に上陸できますかね。
上陸できたあかつきには山頂に旗でも(笑)

骨董屋さんとのやりとり、正確には、まだ長々とありましたが省略しました。
(持参した大皿と花入の解説とか・・・「ここんとこに、こ~修理跡があるんですよ」など)

なんと名付けましょうか・・・・。
奇跡の人「ヘレン」じゃ似合わないし・・・


四月亭さん、気軽に呼べる名のほうがいいですね~。
しかし「新島守」だと、にいじままもるって誰?ってなりかねないので「島守り」とか、「隠岐」はいいですね。

「日の丸」はちょっと・・・かといって「みどり丸」もダメですね(笑)
「いろは島」地図をみましたら孤島ではありませんでした(残念)
ひょっとこ似の「火吹き男」じゃこの茶碗の反面だけしか現れてないような・・・(笑)

今のところ「島守り」か「隠岐」ですね。
他に、なにかよい銘を思いついたら是非ともお願いいたします。

いやー、すごい迫力!へうげてますなぁ!!

この場合は、へうげることによって迫力がさらに増してるようですね。

いやはや、凄い交渉力ですね。ご自身はお気付きになっておられませんが、
うつわやさんは営業職に向いてらっしゃるのでは。わらしべ長者の様に、
大皿と花入れが最後には重要文化財級の古唐津へと…

いや、実は以上のやり取り以外にも隠された交渉術があるのではないですか。
以下に正解がございましたら、お答え下さい^^

① 帰り支度で仕舞おうとしたのは沓茶碗。指摘されても強行した。
② 無言で沓茶碗を凝視、凝固して店内に居座り、連日営業を妨害した。
③ 闇のネットワークを駆使。肉体的、精神的にも店主に追い込みをかけた。

わらしべ長者といってくれるのは、ごく少数だと思います・・・(2年間は買う人もおらず、皿立てに乗せられ飾られたままでした。)
先日、食事に行った時、何か一つ骨董を持ってきてといわれ、この沓を持参したのですが・・・
「どーするん、コレ、使えんやろー」と笑われました。

ちなみに、下取りは「伊万里青磁?」と「備前に活ける」。
http://www.utuwa-ya.jp/blog/2007/03/post-485.html
http://www.utuwa-ya.jp/blog/2007/02/post-477.html

これといった交渉術はなかったのですが・・・
お伺いする時に、学校で買った野菜(最高においしい農業科の生徒が作った野菜 100円)とか庭の果物(すもも)とかを何度か手土産に・・・
①それは罪に問われます②そんな時間があったら働いてお金作ったほうが・・・③私は追い込んでいません~。

この一週間後、ひとづてにお聞きしたのですが・・・体調がよくなかったらしく・・・病院に。今思えば、これが譲ってもらえた大きな原因かと・・・。

かの皿と花生は・・・・・・・沈黙。
個人的にはよき取引きだったと思います(笑)
本来の向付として用立ててくだされ。

大きな買い物が一つあり、これ以上借金もできず・・・皿と花生は泣く泣く手放してしまいました。
茶碗より向付として使ったほうが収まりよさそうですね。
(恥かしい使い方してしまったようで・・・(笑))

こういうひしゃげたのを古唐津や李朝のものに見ますね。
土からくるものでしょうね。
古唐津の陶土は頁岩とも、砂岩、泥石ともいわれているようですが、まったくもって良い土だと思います。

頁岩、砂岩、泥石、いろいろいわれてますが、この中に含まれるものには共通性もあり、そこのところが重要ではないかと・・・只今学習中です。
しかし、こんなに歪むと使えないので、高台を広くしたり、腰の張った位置を高くしていったのではないかと思います。
つい先日も胴手の同じタイプ(見込みは同じく、口のヘタリなし)を見てしまいました(笑)

初めまして^^。

過去記事へのコメント失礼します。

良い沓茶碗ですね感動いたしました。
骨董屋さんとのお話も楽しく拝見しました。

備前花入れは江戸末期と、お見受けしました。
(箱が良いですね)

伊万里青磁の方にやはり力があったんだと思います。

良い直し屋さんで直せばどっこいどっこいか少し
勝てると踏んだのでしょう。

小僧が偉そうにすみません。

はじめまして。
あの備前の花入、今は骨董屋さんの片隅に、数ヵ所の修理跡が大きく剥離したまま置かれてました。
ちょっとかわいそうなことをしたなぁ...と。

伊万里青磁・・・ものの見方も人によって様々、どうだったんでしょうね・・・

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