うつわやブログ

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August 14, 2007 10:02 AM

骨董いじり

失敗から多くを学びます。

motorityou00.jpg

元々は李朝茶碗でした。
口径17.4cm~17.8cm 高さ 7.5cm

手頃な古陶磁は、あれこれとさわりたくなるものですね。
後で、やめとけばよかったと思うことは度々。
変わり果てた姿になり、取り返しのつかない事となる場合もあります。

後悔しても遅いのですが、そこからは多くを学習しています。

やきものは"焼き"が重要だと思い知らされた出来事がありました。

この茶碗は10年以上前に有光先生から頂いた李朝時代の発掘の茶碗です。

motorityou01.jpg

梅花皮(カイラギ)になりかかった、この質感も好きでした。

いただいた時、この茶碗の口部分には違う茶碗のくっつきが数箇所にありましたので

motorityou02.jpg motorityou03.jpg

削って取り除きました。(削り好きです)
削り跡はほとんど目立たないぐらいなり、まずは上出来。

この李朝茶碗の高台部分に見える素地は一見やわらかな感じがして簡単に削れそうな気がしますが、実際は石のように硬く(っていうか石です!)削るのは容易な事ではありません。思ったよりかなり大変な作業で、グラインダーで削るのにほぼ一日を費やしました。

飲み口に邪魔なでっぱりやひっかかりがなくなり
使いやすい状態にとなりますと
やはり使います!

当時はまだコレといった愛用の茶碗がなく、毎日使っていましたら
見込みはカセが強く、表面の釉薬の融けがあまいのもあり

motorityou04.jpg

気が付けば茶碗の中は黒く汚れてしまい(↑画像)

段々と使用回数も減り、そのうちにこの茶碗は全く使わなくなりました。

一昨年、テスト焼きする窯のスペースに空があり
何か入れるものがないかと考えておりますと

(運悪く)この茶碗を思い出し

"焼き直し"をして、汚れを消すことを思いつき

本焼きのテスト窯1240度でやいてみると

motorityou05.jpg

すっかり、 テカテカ の現代モノ へと早変わり
(汚れは取れますが、このテカリは予想外 もう李朝じゃありません)
"入"(ヒビ)は開き  やらなきゃよかったと 後悔の念。

しかし、このままの状態で茶碗を放置するのはあまりにも可哀想すぎますし、なんとなく罪の意識を感じましたので、修理して使おうと漆修理を試みて

漆を塗り、乾燥、また漆を塗り、乾燥、そして木賊で研ぎ漆を塗る
(漆は薄く塗り乾燥させながら重ねていくのがよいらしい)
そして乾燥させていると、しばらく忘れる。

また思い出し、漆を塗り重ね、そして木賊で研ぐ を繰り返し

1年が経過。

motorityou06.jpg

現在はこのような状態です。

まだ漆を重ねた方がいいとは思いますが
今のペースだと何時出来上がるかわからないので
もうこのへんで妥協し
そろそろ金仕上げにかかろうと思います。

果してどーなる事やら・・・

骨董いじりは程々に!

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Comments (11)
ぼんぼん ( August 15, 2007 7:00 AM ) Reply

あらあら、焼きなおすとてかてかになってしまったんですか。。

良く言いますよね。何度か焼き直しをすると味がつくとかって、、あれ備前とかだからですかね??
お茶が入って黒くなってしまったら、やはりハイターにつけるのが一番なんでしょうかね??
最近、僕も良くいじりまわしています。苦笑
削りは、良くやっています。
つい時間を忘れて削っている自分に気がついて苦笑いをしてしまいます。

この”てかてか”は凄いショックでした~
しかし、この茶碗の焼成温度は1240度以下だとわかりましたよ

備前は焼き直すと良くなる事が多いと聞きますが、釉薬モノは難しいです。
汚れはハイターにつけるのが一番のようですね。
(焼き直しはダメです!w)

確かに、夢中になっているとあっというまに時間が過ぎ
ふと我に返った瞬間って(他にやるべき事が沢山あるのに)何をやってるんだ?
というような時があります(笑)

確かに、備前は焼きなおす話しは聞いたことがありますね。
魯山人が焼き損じの備前に銀彩を施し、再度焼き上げて見事な葉皿としてリサイクルをしたことは有名な話だと思います。
まさに「骨董いじり」も一日にしてならず、なんでしょうか???

くらいけ ( August 15, 2007 11:03 PM ) Reply

何度も焼きなおしたという中川自然坊氏の朝鮮唐津徳利をもっていますが、焼き直しによる釉薬のツヤ消し具合が実によくて、新品なのに古格があるという効果が出てますよ。
僕の焼き直し経験では、古伊万里も山茶碗もペケでした。ふつうそうですよね・・・

desafinadoさん、備前お好きでしたよね。
銀彩の焼成温度は原料によっても異なりますが580~780度ぐらいの上絵なので現代の技術では(センスは別としたら)わりと簡単にできると思います。
「骨董いじり」はどーでしょうか?
確かな眼力と財力と度胸があれば一日にしてなる!?かなぁ・・
(↑私にはないですけどw)


くらいけさんも古伊万里の山茶碗を焼いちゃいましたか~親しみを感じますw
古陶はホント難しく、掘りの手は長年土中ですから
カセたものには釉の剥離などもあり、成功例は少ないみたいです~

現代ものはよく焼き直してますよね。私も2度焼きする事があります。

中川氏の朝鮮唐津はきっといいでしょうね~
機会があったら拝見したいです。

くらいけ ( August 18, 2007 9:32 PM ) Reply

中川氏の朝鮮唐津徳利はラボで買いましたからチェックされている人は見覚えあるでしょうね。
後日ブログでアップしますね^^

いや~全くチェックしてなかったです。
お暇な時にでも、宜しくです^^

こんばんは

一気に読むのが惜しいので、少しずつ楽しんでいます。
漆で直す金継ぎを習っていますので、utuwa-yaさんの直しの記事も楽しみにしています。
このお茶碗、直りましたか?

この茶碗はなおりました!しかし恥かしいくらい下手な修理です。
http://www.utuwa-ya.jp/blog/2007/08/post-542.html

過去のブログを読み返すともっと恥かしくなります・・・
いったい誰が書いたんだろうって思えるぐらいですよ~(笑)

書や漆(素人だけど)さらに再焼成といろいろやりますね(笑)
これは実験用だから結果がわかったからもう用済みです。
うつわ屋氏はもっと目を鍛え勉強せなあかん(ママの小言)

この器は、カセて汚れたものがきれいになりました(笑)
同じものを見ても見る人によって違って見えるし、文章もとりかたによって異なりますね。
すべてにおいて真髄がみえるようになるといいのでしょうが・・・

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