汐景が育ってから粉引の変化をまとめようと思っていましたが・・・
発育途中で嫁いでしまい、現在ある写真でどのような変化があるかを簡単にまとめてみます。
同じ原料を使用した粉引でも、変化の仕方は様々なようです。(理想的な育ちは李朝のような細かな貫入に雨漏りの景色。)
上左、たまに使う小鉢は内側に貫入がうっすらとでる。
上右、数回使い、暫く使用していない湯呑は内側に変化はなく、外側に染みがでていた。
下左、よく使うカップ、内側に貫入がはっきりとでる。
下右、たまに使う湯呑、内側に染みがでる。
一番変化している下左のカップの外側と内側を拡大すると、
釉薬の厚さにより、貫入の入り方が変わってきますが、雨漏りのような染みは外側のみにでています。(左の大きな貫入の下部分にも肉眼でやっと見える細かな貫入があります)
雨漏りとは やきもの辞典より
高麗茶碗の一種で、茶碗の表面に雨漏りのような浸みの景の現れていることを特徴としていいる。名物では「蓑虫」が著名。また、たんに浸みの景を指してもいう。堅手、熊川(こもがい)粉引、萩などによくみられる。
雨漏りのような景色をだしてくれるといいのですが、なかには理想と反して、よくない育ちをする場合もあります。
先日、お客様のところで、粉引偏壷の育ちを見たところ、黒い斑点がでており、よい状態とはいえず、お話した上でこの黒い染みを消すために焼き直しをすることにしました。
しかし、せっかく付いた他の景色も消えてしまうので、窯に入れる前に黒い染みだけ消えないものかと、水に浸け、それから乾燥させて、を何度か繰り返していましたら・・・
染みが広がってきたものの、黒い部分は変化なし、
もう少し様子をみて、取れなければ焼き直しすることにします。
使用前の粉引偏壷の画像はこちらを(左側)→http://www.utuwa-ya.jp/blog/kamadasi2008%2C7kohiki04.jpg
粉引は縁が弱く欠けやすいので、今後はそのあたりの調整を。