うつわやブログ

  • /

April 15, 2007 7:48 PM

酸化炎焼成と還元炎焼成

先日のコメントに画像を入れて少し補足しました。

ofrf.0.jpg

三島皿 中性炎焼成になります
口径 18cm

上の画像は自作による皿断面の拡大写真です。
還元のかかった部分はグレーに発色し密度が細かく石のようになり、酸化状態の部分はベージュ発色で還元のかかった部分と比較すると粒子が荒くなります。

還元炎焼成は窯の中の酸素不足による焼成で、酸素が少ないとこの素地の中にある酸素や釉薬中の鉱物の酸素が奪われて、生地が堅く焼きしまります。

酸化炎焼成は十分な酸素がある状態での焼成。
この場合、粘土粒子の間に細かな気泡、隙間、(酸素)が残り、素地は還元炎より柔らかい上がりとなります。
使用しているうちに、この隙間にいろんなものが入り込み、器の表情が変化し様相が変わりやすいといえます(時代が付きやすい)

素地の焼きしまりについては古陶に限りよく見られますが、現代陶になりますと、原料の違いにより、還元炎でも素地が全く焼きしまってないものの方が多く見受けられるので一概には言えません。

器の表面で見る酸化炎焼成と還元炎焼成

ofrf.01.jpg

三島手蕎麦猪口
口径 8.2cm 高さ 6.2cm

ofrf.02.jpg

左が酸化気味 右側は還元気味

ofrf.03.jpg

堅手豆皿
口径7.5cm、8cm 高さ2.5cm<

ofrf.04.jpg

磁器(正確には半磁器)の左が酸化焼成 右は還元気味

ofrf.05.jpg

藁灰釉兜鉢 藁灰釉茶碗
口径 12.2~13cm 高さ 5.9cm 口径 13.2cm~13.8cm 高さ 8cm

ofrf.06.jpg

藁灰の左が酸化焼成 右が還元気味
同じ釉薬ですが土が少し違っています。
あいにく同じ土を使ったものがありませんでした^^

Trackback (0)

Trackback URL: http://www.utuwa-ya.jp/mt/mt-tb.cgi/2220

Comments (8)

酸化と還元の焼成による違いがよくわかりました。有難うございます。これを知っていると古陶磁や陶片の見方が変わりますねぇ。こうして見ると求めているところが難しい物ってことがわかりました。即ち焼きがよくて(還元)よく育つもの(酸化)を求めてる^^;例の陶片でも酸化と還元がよくわかります。なるほど~還元のものは育ち難い釉肌でした。

とても興味深く、面白いお話ありがとうございます。
↑くらいけさんのお話もなるほどです♪。
この様に焼成方法の違いで並べて拝見させて頂くと、
私は、やはり還元焼成の方が好みな気がします。
右側の器達の発色、凄く好みですw(^^)。

くらいけさん、まだ望みを捨ててはなりませんよ~
還元でも焼成温度によっても違ってきます!
詳細は又次回^^やはり見るのが一番分かりやすいですね。

bin_sukiさんの陶片は還元気味のようですね。
よくカリット焼けたとかガッチリ焼けたとか表現が使われますが、私も好きです。
ブログで拝見させていただいた「カイラギ小皿」は酸化気味の中性炎かもしくは還元気味でも温度が上がってないかでしょう。
このようなどちらとも付かないモノも魅力的です。

とても理解しやすい解説有難うございます。
断面図があるところがいいですね。

閑話休題、以前唐津の「洋々閣」に宿泊した際に、年配のご夫婦向けのお土産に、中里隆の三島手の高杯を2客購入し差し上げました。
ちょうど一番上の蕎麦猪口のような還元気味の発色の高杯と、やや酸化気味(中性炎?)なのか、2客の蕎麦猪口の中間色のような発色でした。

desafinafoさん、喜んでいただけてよかったです。
「洋々閣」いいですね~(って展示室しか行った事がない!それも10年以上前^^;)
唐津に行っても何時も日帰りで、たまにはゆっくりしたいものですね。

現代陶の還元。備前の場合、松割木の燃焼時に発生する不純物が逃げ場がなくて、
土に入り込んでしまうと聞いたことがあるような・・('66')y─┛~~

そーですよ~多分それそれ、不純物?は何か分からないですけど
そのような感じ・・・話かわりますけど66さんって愛煙家?
健康には注意しましょう^^

やはり焼き締まりの話になると、私は古唐津、李朝の土のところに行きます。(分かりやすく釉薬物としときます)
焼き締まっていていい感じ(柔らかな感じ)というのはここに立ち返る事に成ると思います。

感じは良いけど物足りない、焼き締まりに不足があるものが多くなった今、

あの陽に焼けたような肌、頼もしく焼き締まり、目の詰まった生地を求めるなら、
古唐津、李朝の土のあり方に戻る必要があると思います。

心底、土から出てきたという味わい、これはまことに頼もしく、皆が憧れるところであります。

(焼き締まりだけを言うなら、備前に始まり色々あります。)

Post a Comment

カテゴリ
最近のブログ記事
アーカイブ

↑